上質な仏壇は代々にわたって何百年もお使いになれます。しかし、丁寧に掃除をしても次第に汚れは蓄積されていきます。そんなとき、補修・洗濯を施せば古いお仏壇も新品のように蘇ります。
昭和の初期に作られたこのお仏壇は、伊勢湾台風の時に完全に水没しました。その時補修・洗濯を受けたのですが、被災後の混乱期の補修であったことと50年近い年月が過ぎたことにより、多くの破損がみられ、さらにろうそくや線香の煙によりかなりの汚れが蓄積していました。
水害の影響で扉は変形し、経年により破損したり扮したりした部品や仏具もありました。
お仏壇や仏具はもともと補修・洗濯にそなえ解体できるように組み立てられていますが、細心の注意をはらって解体されます。
特殊な薬液を使い、埃や脂を落としていきます。本金は何年経っても変色したり錆びることがないので、洗濯により本来の輝きが蘇ります。
破損したり変形した部品は作り直します。また、漆塗りの前に下地処理がなされます。
漆は全て塗り直され、数ヶ月にわたり十分な乾燥をした後、扉などは呂色(ツヤ出し)を経ます。
塗り直した箇所、金箔の欠けた箇所に金箔が押されます。また蒔絵や家紋が再び描かれます。
補修・塗り直しの済んだ部品は、洗濯や再メッキされた金具と組み合わされ、再び仕組まれます。こうしてお仏壇は新品同様に生まれ変わりました。
日柄の良い日を選んで納品されます。納品後は仏具の正しい飾り方やお仏壇・仏具の手入れの仕方の説明をします。今回の補修・洗濯はデータベースに記録され、次回の補修・洗濯の参考となります。